魔術・妖術・幻術に関して


 『幻術も、恐ろしい地獄に近づく』





  幻術

 あるとき尊師はサーヴァッティー市のうちのジェータ林にとどまっておられた。

その時、尊師は次のように仰せられた、
「修行僧たちよ、昔、阿修羅の主であるヴェーパチッティは、病いにかかり、苦しみ、病患が激しかった。
 そのとき、神々の主であるサッカは、病気を見舞うために阿修羅の主ヴェーパチッティのところに赴いた。

 ときに、阿修羅の主であるヴェーパチッティは、神々の主サッカが遠くからやってくるを見た。

見てからあとで、神々の主サッカに次のように言った、
「神々の主よ、私の病いを癒してくれ」

サッカいわく、
「ヴェーパチッティよ。サンバラの幻術をわれに知らせよ」

「ではまず諸々の阿修羅に尋ねて話をつけましょう」

そこで阿修羅の主ヴェーパチッティは、諸々の阿修羅に尋ねて打ち合わせた、
「私は神々の主サッカに、サンバラの幻術を教えてよいのだろうか」と。

諸々の阿修羅いわく、
「あなたは、神々の主サッカにサンバラの幻術を知らせてはなりませぬ」

そこで阿修羅の主ヴェーパチッティは、神々の主サッカに詩を以て語りかけた、
「マガヴァーよ。サッカよ。神々の王よ。スジャー妃の夫よ。

 幻術も、恐ろしい地獄に近づく。

 そのためにサンバラは百年も地獄に堕ちたのだ。





 説明文
〔後代のタントラ教および真言密教では、サンバラは重要な神的存在となった。〕

 人間界の百年と、天界の百年の単位は、長さが異なる。

サンユッタ・ニカーヤ





















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