地球環境についての講演  


 地球環境について環境啓蒙活動をされているアル・ゴアさんの講演です。



 アル・ゴア氏 とは↓このような人です。『不都合な真実 アル・ゴア氏より』

 元アメリカ福大統領。
1976年米国下院議員に選出され、1984年と1990年、上院議員に選出される。
1993年1月20日、米国第45代福大統領に就任し、8年間その職務を果たした。
1992年のベストセラー『地球の掟──文明と環境のバランスを求めて』の著者。
現在アル・ゴアは、視聴者がつくる内容と市民のジャーナリズムを基盤とした、若者向けの独立系ケーブル・衛星テレビのノンフィクション・ネットワーク『カレントTV』の会長を務める。
映画『不都合な真実』は第79回アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞した。
アル・ゴアと妻のティッパーは、テネシー州ナッシュビルに居住し、4人の子供と2人の孫がいる。





  ノーベル平和賞受賞講演(抜粋)     アル・ゴア氏        オスロ、12月10日

(前略)私たち人類は地球の危機に直面しています。
 それは、私たちがこの場に集まっている間にも、不気味な破壊力を強めている、文明存続への脅威です。
 しかし、希望が持てるお知らせもあります。
 大胆かつ迅速に断固として行動すれば、この危機を解決し、すべてではないにせよ、最悪の結果を回避する力が私たちにはあるのです。
 しかし、例外的な人が増えているとはいえ、あまりに多くの世界の指導者たちには、アドルフ・ヒトラーの脅威を無視した人たちに対するウィンストン・チャーチルの言葉が未だにあてはまります。
彼らは奇妙な矛盾に陥っている。決定しないことだけを決定し、優柔不断であることを決断し、断固として流されやすく、確実にかわりやすく、無能になる能力がある。

(中略)

 ここ数カ月、世界に異変が起きている兆候はますますはっきりしてきました。
 南北アメリカ、アジア、オーストラリアの大都市は、大干ばつと氷河の溶解によりほとんど水不足になっています。
 絶望した農民たちは生活の糧を失いつつあります。
 極寒の北極地方と海抜の低い太平洋諸島の人々は、長年故郷と呼んできた場所から避難することを考えています。
 未曾有の森林火災により、ある国では50万人もの人々が家を追われ、別の国では政権が崩壊しかねないほどの非常事態となりました。

(中略)

 太平洋や大西洋の激しい暴風雨はあらゆる大都市を脅かしています。
 南アジア、メキシコ、アフリカの18カ国では、大洪水により何百万人もの人々が家を失いました。
 高気温が上昇するにつれて、何百万もの人々が亡くなりました。
 私たちは無謀にも森林を焼き払い、伐採し、さらに多くの種を絶滅させています。
 私たちが依存している生命の網そのものが引き裂かれ、擦り切れています。

(中略)

 私たちは、明らかに正しい道徳的な目的に向かって団結するとき、気力が高まり、自分を変えることができます。
 1940年代に世界中のファシズムを打倒した世代は、大変な挑戦に立ち向かったとき、道徳的権限と長期的ビジョンを得ました。 それにより、マーシャル・プランや国際連合を立ち上げ、ヨーロッパを結合し、ドイツ、日本、イタリアや世界各国に民主主義と繁栄をもたらした新たなレベルの国際協力を始めることができました。
 こうしたビジョンを持った指導者の一人は、「通りすがりの船の灯りではなく、星に導かれて舵を取るときだ」と言いました。
 私たちは、気候の危機と、貧困、飢餓、HIV・エイズや他の流行病との関係を理解しなければなりません。
 これらの問題は関連しているので、解決策も関連しているのはずです。私たちはまず、地球環境を共同で救うことを国際社会が団結するための中心的方針とすることから始めなければなりません。

(中略)

 世界には協調が必要です。
 地球のバランスを保つために、影響力の大きい国は特に協力が必要です。
 この課題に対応するために近年対策を講じてきたヨーロッパと日本、気候の危機の解決を最優先事項としたオーストラリアの新政府に敬意を表します。
 しかし、その成果に決定的な影響を与えるのは、現在十分に対応していない2つの国、米国と中国です。
 インドの重要性も急速に高まっていますが、最大のCO2排出国である2カ国、とりわけ私の国は思い切った対策をとる必要があり、さもなければ歴史の前で行動しなかった責任を負うことになるのは極めて明白です。
 両国は相手国の態度を膠着(こうちゃく)状態の言い訳にするのはやめて、代わりに共有する地球環境の下で相互に生き残るための課題を進展させるべきです。

(中略)

 これからの道のりは厳しいです。
 現在の私たちが実現できると思っていることの限界は、実際にやらなければならないことにはるかに及ばないのです。
 さらに、現状と限界との間、未知の領域には影が落ちています。

(中略)

 私たちは運命の分かれ道に立っています。
 そこで、私は最初に話したように、明らかに起こりうる2つの未来のビジョンで話を終えたいと思います。
 そして、2つの未来のどちらかを選択しなければならないこと、しかも今すぐ正しい選択をしなければならないことを、私たちがはっきり理解できるよう祈っています。


ノルウェーの偉大な劇作家、ヘンリック・イプセンは、こう書いています、

「いずれそのうち、若い世代が私のドアをノックしに来るでしょう」

 未来は今、私たちのドアをノックしています。

 間違いなく、次の世代は2つの質問のどちらかを尋ねるでしょう。

 彼らは「一体何を考えていたのですか?なぜ行動しなかったのですか?」と尋ねるか、

 あるいは「どうやって勇気を持って立ち上がり、解決不可能と言われた危機を見事に解決したのですか?」と尋ねるでしょう。

 私たちは、行動を起すために必要なものをすべて持っています。恐らく政治的意思以外は。でも、政治的意思は再生可能な資源なのです。

だから、それを再生して、一緒に言いましょう、

「私たちは1つの目的があります。私たちは一人ではありません。この目的のために私たちは立ち上がり、行動します。」































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