更訂 H28.6.9



  肉食をすることがなまぐさ〔臭穢〕なのではない、ということについて



『これら(生けるものども)に対して貪りを求め、敵対して殺し、常に(加害を)なすことに努め、死んでから暗黒に入り、頭を逆さまにして地獄に堕ちる人々(諸有情)、

 これが”なまぐさ”である。肉食をすることがなまぐさなのではない。』





  なまぐさ

(苦行者バラモンのティッサは、カッサパ仏陀に問うて言った、)

「キビ・ディングラカ・チーナカ豆・野菜・球根・蔓の実(等の食物)を、善き人々から正しい仕方で得て食べながら、欲を貪らず、偽りを語らない。

 よく炊がれ、よく調理されて、他人から与えられた純粋で美味な米飯の食物を舌鼓うって食べる人は、なまぐさ〔臭穢〕を食うのである。カッサパよ。

 梵天の親族(バラモン)であるあなたは、美味しく料理された鳥肉とともに米飯を味わって食べながら、しかも『わたしはなまぐさを許さない』と称している。

 カッサパよ、わたくしはあなたにこの意味を尋ねます。
 あなたの言う”なまぐさ”とはどんなものなのですか。」

(カッサパ仏陀は説いて言った、)

「生き物を殺すこと、打つこと、切断すること、縛ること、盗むこと、嘘をつくこと、詐欺、だますこと、邪曲(または、無意義・有害な書物)を学習すること、他人の妻に親近すること。
 これが”なまぐさ”である。肉食をすることがなまぐさなのではない。

 この世において、欲望を自ら制することのない人々、美味を貪り、不浄(邪悪)業にまじえ、虚無論をいだき、不正の行いを為し、頑迷な(善へと導き難い)人々。
 これが”なまぐさ”である。肉食をすることがなまぐさなのではない。

 粗暴・残酷であって、陰口を言い、友を裏切り、無慈悲で、極めて傲慢であり、物惜しみする性で、誰にも施し与えない人々。
 これが”なまぐさ”である。肉食をすることがなまぐさなのではない。

 怒り、おごり、強情、反抗心、偽り、嫉妬、ほら吹くこと、極端の高慢、不良(不善)の徒と交わること。
 これが”なまぐさ”である。肉食をすることがなまぐさなのではない。

 この世で、性質が悪く、借金を踏み倒し、密告をし、法廷で偽証し、正義を装い、邪悪を犯す最も劣等な人々。
 これが”なまぐさ”である。肉食をすることがなまぐさなのではない。

 この世で、欲しいままに生きものを殺し、他人のものを奪って、かえってかれらを害しようと努め、たちが悪く、残酷で、粗暴・粗語で無礼な人々。
 これが”なまぐさ”である。肉食をすることがなまぐさなのではない。

 これら(生けるものども)に対して貪りを求め、敵対して殺し、常に(加害を)なすことに努め、死んでからは暗黒に入り、頭を逆さまにして地獄に堕ちる人々(諸有情)。
 これが”なまぐさ”である。肉食をすることがなまぐさなのではない。

 魚肉・獣肉(を食わないこと)も、断食も、裸体も、剃髪も、結髪も、塵垢にまみれることも、粗い鹿の皮(を着ること)も、火神への献供につとめることも、または、世間にてなされる不死を得るための多くの苦行も、(ヴェーダ・真言の)呪文も、供儀も、祭祀も、季節の荒行も、疑惑を超えていなければ、その人を清めることはできない。

 通路(六根〔眼、耳、鼻、舌、身、意の機官〕)を護り、機官に打ち勝って行動せよ。
 理法のうちに安立し、質直で柔和なことを楽しみ、執着を去り、一切の苦を捨てた賢者は、見聞した事柄に染著されない」

 これらの事柄を、尊き師(仏陀)は繰り返し説きたもうた。
 ヴェーダの呪文に通じた人(ティッサバラモン)は、牟尼〔聖者〕が、種々の偈をもちて説きたまへたるがゆえに、なまぐさなく、依著なくなりて、それを知った。
 なまぐさを離れて、何ものにもこだわることのない、跡を追い難い聖者(仏陀)は、種々の詩句を以て、それを説きたもうた。

 目覚めた人(カッサパ仏陀)の見事に説きたもうた(一切の苦しみを薄くする、なまぐさなき)言葉を聞いて、(そのバラモンは)謙虚な心で、全き(仏陀)を礼拝し、即座に出家することを願った。
スッタニパータ



〔この経は、魚や肉を、臭穢(なまぐさ物)と考え、それを食せざることを、聖者の条件であると信じていた苦行者バラモンのために、世尊が、カッサパ仏陀のなまぐさに関する説法を持ち来たりて、説かれたものである。〕

〔仏教では、肉を喰うことは罪とはならないが、自分に供養すると決めて、生物を殺し供養せられた時は、比丘はこれを受けてはならない。として制せられている。〕





[【肉食の内、比丘の食してはならない肉の種類に関しての教え】
((在家としても、肉食ということについて知り、考え、避けることもできるようになるだろう、そのために記す。)

 信心あり、浄心ある人々の内に、自らの肉を棄捨する人がいる、しかし、
 「比丘は、人の肉を食うてはならない。人の肉を食う者は、罪悪業に堕す」

 また、そのように、
 「比丘は、(食せば悪作となる肉もあるので、知らない)肉を観察せずして食う者は、悪作に堕す」

 また、
 「比丘は、象の肉を食うてはならない。象の肉を食うものは、悪作に堕す」
 「比丘は、馬の肉を食うてはならない。馬の肉を食うものは、悪作に堕す」


 また、嫌悪、厭うべきものとして、
 「比丘は、狗(イヌ)の肉を食うてはならない。狗の肉を食うものは、悪作に堕す」
 「比丘は、蛇の肉を食うてはならない。蛇の肉を食うものは、悪作に堕す」

〔犬科の肉ということで言えば、他は、狼、狐、狸等も。狐・狗・狸等は、コックリ〔狐狗狸〕という、(やるだけで損するような低級霊の憑依による)占い等でも知られるような、化けて出ると言われているたぐいの獣は、(日本では、食べる習慣はないけれども、)一般人でも、無理して食べるべきものではない。
 世間のそのような心霊の話でも、狐や蛇等の悪霊の憑依、悪戯、邪行というのは、めずらしくない話で、当然、殺生等、害することも悪い。〕

〔蛇の肉は、仏典において、仏陀に、スパッサ龍王〈善現龍王〉の言葉として、「信心なく、浄心のない龍が、蛇の肉を食したものを害する事があるゆえに、蛇の肉を食べさせないでください」ということでも、食蛇肉の禁止。
 また、蛇は、仏陀の他の教えでも、害せばとても悪いとして、害してはならないと説かれる。
 また、仏教だけではなく、世間の説で言うと、修験道でも、蛇は、龍神が蛇として来ている者もいるので、基本、殺生してはならない、と言われる。〕


 また、比丘がこれらの獣の肉を食いて、林中に住するとき、同じ獣の肉の香によりて、比丘が襲われたが故に、食うてはならないとされた獣肉として、
 「比丘は、獅子(ライオン)の肉を食うてはならない。獅子の肉を食うものは、悪作に堕す」
 「比丘は、虎(トラ)の肉を食うてはならない。虎の肉を食うものは、悪作に堕す」
 「比丘は、豹(ヒョウ)の肉を食うてはならない。豹の肉を食うものは、悪作に堕す」
 「比丘は、熊の肉を食うてはならない。熊の肉を食うものは、悪作に堕す」
 「比丘は、ハイエナの肉を食うてはならない。ハイエナの肉を食うものは、悪作に堕す」]





〔栄養学的に、完璧なベジタリアン(菜食主義者)の人について
 野菜や穀物など植物性食品は、ビタミンB12がほとんど含まれていないので、肉や魚や卵や乳製品を、まったく摂取しないベジタリアンの人は、食品からビタミンB12をほとんど摂取できないため、ビタミンB12欠乏症に陥ることがあるので、そのような人は、ビタミンB12をサプリメント等で補う必要があります。



ビタミンB12欠乏症〔wikiより〕

 ビタミンB12欠乏症は、ビタミンの供給、吸収にかかわるタンパク質、このビタミンを利用する酵素の異常、など非常に複雑な要因が絡んで起こる。
 ビタミンB12の一日の必要量は極めて少なく(2.6µg)、また体内の備蓄量はミリグラム単位で存在するため、毎日ビタミンをとらなくてもすぐには欠乏症になることは無い。
 しかし、胃切除などで、ビタミンB12の吸収に必須の蛋白質が分泌されなくなると、体内の備蓄の大半を消費した頃に欠乏症が現れる。
 また、野菜・果物類にはほとんど含まれていないビタミンのため、極度の菜食主義でも欠乏症になることがある。

 ビタミンB12の正常な成人の1日の吸収する必要量は1.0µgで、吸収率を50%として必要な摂取量は2.0µg/日である。摂取推奨量は、1.2を乗じて2.4µg/日である。

 なお、ビタミンB12あるいは葉酸が不足して、葉酸が触媒的に再生産されないとDNA合成に異常が起こり細胞の成熟が正常に行われなくなるのは巨赤芽球を呈する赤芽球だけではなく、顆粒球系や巨核球系、さらに他の細胞とくに増殖の盛んな上皮や精子など細胞にも同様の影響をあたえる。
 ビタミンB12の吸収不足の原因となる萎縮性胃炎では平均赤血球血色素量(MCH)の高値が認められることがある。

臨床像

・悪性貧血
 萎縮性胃炎により腸上皮化生のような腸又は線維組織によって胃組織の置換が起こり、胃腺細胞の減少をもたらす、胃粘膜の慢性炎症の過程が起こり、塩酸、ペプシン、内因子のような基本的な物質の胃での分泌が結果的に障害を起こし、消化器系の疾患、ビタミンB12の吸収欠乏と悪性貧血である巨赤芽球性貧血をもたらす。
 胃粘膜が萎縮することでビタミンB12の吸収に必要な内因子が低下するためにDNAの合成が障害され異常な巨赤芽球ができるために悪性貧血が起こる。

・亜急性連合性脊髄変性症 (ICD-10:E53.8)
 脊髄の側索と後索が同時にやられる病気。側索と後索の髄鞘の形成が阻害される。同時に阻害される事から連合性と言う。

・メチルマロン酸尿症
 哺乳動物では、奇数鎖脂肪酸の代謝や一部のアミノ酸の代謝でプロピオン酸が生成される。このプロピオン酸とCoAが結び付いたプロピオニルCoAは、ビオチン依存性酵素であるプロピオニルCoAカルボキシラーゼによって(S)-メチルマロニルCoAに変換され、さらに(R)-メチルマロニルCoAに変換される。(R)-メチルマロニルCoAは、メチルマロニルCoAムターゼによってクエン酸回路で代謝されるスクシニルCoAに変換されるが、この酵素は炭素-炭素結合の移動を触媒するためのコバラミン(ビタミンB12)を要する。メチルマロニルCoAムターゼの欠如は、メチルマロン酸の蓄積をもたらし血液のpHが低下するメチルマロン酸血症を引き起こす。

・ホモシステイン尿症
 必須アミノ酸のひとつであるメチオニンの代謝経路において、中間生成物ホモシスチンの代謝酵素であるシスタチオニン-β合成酵素(シスタチオニン-β-シンターゼ)の先天的欠損によりホモシスチンがシスチンに変換されず、体内に多量に蓄積され尿中へ排出される先天性アミノ酸代謝異常症のひとつである。メチオニン代謝経路において、代謝不良によるメチオニン蓄積にあわせて、中間生成物ホモシスチンの一部がメチオニン合成酵素(メチオニンシンターゼ)によってメチオニンへと還元されることから血中メチオニン濃度が上昇するという特徴も併せ持つ。

ビタミンB12欠乏症は、潜在的に深刻で不可逆的な障害を脳と神経にもたらしうる。
 通常よりもわずかに不足しているレベルでも、疲労、抑うつ、物忘れのようなある程度の症候が現れることがある。
 しかしながら、これらの兆候は余りにも特徴がなくビタミンの欠乏であると診断することはできない。

・治療
 葉酸、ベタインなどとともに自閉症児へのサプリメンテーションが有効という報告があるが、シアノコバラミンは適切なビタミンB12ではない。補酵素型であるメチルコバラミンを使うのがよい。

 注射やパッチは、消化器からの吸収が不十分な場合に用いられるが、0.5から1mg以上の高容量の経口摂取であれば注射やパッチは必要ではないとの証拠もある。悪性貧血であっても経口投与で治療が十分に可能であるとも言われている。このような主張があるものの、ビタミンB12は内因子と結び付かないと腸から効果的に吸収されないため、内因子の分泌量が制約要因となり食事当たり2μg 程度でビタミンB12の吸収が飽和する。このため、ビタミンB12は胃から分泌される内因子を介した吸収機構が飽和すれば食事中から過剰に摂取しても吸収されない。また大量(500 μg 以上)のシアノコバラミンを経口投与した場合でも内因子は非依存的に投与量の1%程度が吸収されるのみである。ピロリ菌感染等による萎縮性胃炎による内因子の分泌障害とそれに伴うビタミンB12の吸収不全が疑われる場合には、ビタミンB12の錠剤の舌下での服用と吸収も考えられる。

・過多症  
 ビタミンB12は水溶性なので、過多症の心配はないと考えられている。

・多く含む食品
 食品100gあたりでは、穀類、芋類、砂糖類、豆類、野菜類、果実の含有量は0でありほとんど含有されない。─
 海洋性食品である海苔、貝、動物性食品の肝に30〜60µgと非常に多く含有される。植物性の海苔はビタミンB12として有効であり、菜食主義者にとって貴重な摂取源となるとの意見もある。魚類には、0.5〜30µgほど含まれる。畜産食品では、肝臓と舌を除くと肉類は0.3〜2.5µgが多く、生卵は0.9µg、普通牛乳は0.3µgとなっている。〕








『 魚肉・獣肉(を食わないこと)も、断食も、裸体も、剃髪も、結髪も、塵垢にまみれることも、粗い鹿の皮(を着ること)も、火神への献供につとめることも、または、世間にてなされる不死を得るための多くの苦行も、(ヴェーダ・真言の)呪文も、供儀も、祭祀も、季節の荒行も、疑惑を超えていなければ、その人を清めることはできない。

 通路(眼、耳、鼻、舌、身、意の機官)を護り、機官に打ち勝って行動せよ。理法のうちに安立し、質直で柔和なことを楽しみ、執着を去り、一切の苦を捨てた賢者は、見聞した事柄に染著されない』


 火への祀りや沐浴するという事柄に関して





















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